冗談混じりの

「数馬、デートしようよ。」
「え? どこまで?」
そんな会話が聞こえて、オレ、次屋三之助を含む篠小組は思わずそちらを見る。
藤内と数馬、二人とも冗談で言っているのはわかる。
わかるけどさあ!
「そういうリア充発言はオレらのいない所でやれ〜」
「なんだよ、三之助。 邪魔すんな。」
「だって、は組の二人いつも一緒じゃん。 たまには離れろよな〜」
恨めしげにそういってやると、藤内はふむ、と頷いた。
「言われてみればそうかな、つい数馬の面倒見たくなっちゃうから。」
そう言っておれらを見渡す藤内は、隣で、ぼくそんなに頼りなくないよ!と主張している友人をスルーして口を開く。
「作兵衛、数馬とデートしてこい。」
「はあ!?」
「ちょ、ちょっと藤内!」
唐突な発言に、慌てる二人の頬が赤いのを見つける。
孫兵も左門もそれに気付いたようで、口の端をにやりと上げた。
正直、室町で数馬と作兵衛の間に何があったのか、いやむしろ、何かがあったのかどうかすらわからない。
図ったように、数馬が作兵衛の前に現れなくなったのも不運という名の偶然だったのかもしれないし。
けれど室町がどうであれ、今の数馬と作兵衛がお互い惹かれてるのは見てて丸わかりだった。
応援してやりたいなあ、と、作兵衛をのぞく篠小組では話し合っていたのだけど、藤内もそうだったんだな。
嬉しい気持ちで藤内を見ると、彼は、苦い苦い顔をしていた。 あー、不本意かあ
苦々しい顔のまま、藤内は作兵衛に向かって話す。
「コンビニ行くくらいいいだろ?」
「最初からそういえよ!」
「冗談くらい軽く流せよ。 余裕ない奴。」
「なっ!」
言い争っている藤内と作兵衛をおろおろと見て、数馬は藤内の袖を引いた。
すると、藤内は今までの苦い顔はどこへやら。
優しい笑みを浮かべて、数馬の頭に優しく手を置く。
何も言葉を交わしていないのに二人はわかり合っているようだった。
ぽかん、とそれを見ていた作兵衛の顔が、一瞬ゆがんだ。
傍から見てるとおもしれえ。
くくく、と笑うと、作兵衛がこちらを見た。
「なに笑ってやがる! おめえら!」
左門も孫兵も、おれと同じようににやにや笑っていた。
「いやいや、作兵衛、数馬、デート楽しんでこい!」
冗談交じりにそう言ってやると、藤内はとびきり嫌そうな顔になり、作兵衛と数馬は顔がほわっと赤くなった。
すげー、おもしれえ、
そう思って篠小で目配せをする。
明日思いっきりからかってやろうぜ、って。


2011.10.27

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