注意書き
◆作兵衛と数馬がお互いに好感を抱いています。
(お互い無自覚)
◆現パロ、大学二年生(年齢操作)パロです。

◆孫兵の家はお金持ち設定で、伊賀崎家の持ち家のひとつを借りて、一軒家で六人、共同生活をしています。

◆六人とも関東住まいです。

◆前作「今日も今日とて」の設定をついでいますがよんでいなくても差し支えはありません。



一人の紅茶
みんなが出かけた家で孫兵は愛蛇を首に巻き、カップに紅茶を注ぐ。少し蒸らしすぎたが問題はない。ジュンコのひんやりした頭を撫でながら孫兵は何とはなしに考え始めた。
『作兵衛は数馬の事を気に入ってるからだと思うよ』 自分がそう言ったのは、何故だっただろうか。もう詳細は忘れてしまったが、いつだったか数馬が、作兵衛に対する不満を孫兵にこぼしている時だった。まだ高校生の頃だったと孫兵は思い出す。
 数馬は何故か自分を弱いと思い込んでいる節があって、そのせいか、世話を焼きたがる作兵衛の態度に少なからず傷ついているようだった。
 そんな数馬がこぼした小さな愚痴に、孫兵はただ自分が思う事実を言った。もちろん数馬は納得しなかったけれど、それでも思うところはあったらしい。作兵衛が手を貸した時に、それまでは顔を歪めながらも受け入れていた数馬は作兵衛に何か言ったようだった。
 作兵衛はそれでどう思ったのか。とにかく数馬の事を気にしていても、すっ飛んでいくようなことはなくなった。
 あれから3年経った今、ふたりはとてもいい関係を築いているように見えるが、案外、本人たちは一生気づかないものなのかもしれない。しかしこの二人ならそれでもいいのではないかとも思えるのだった。
孫兵はカップを置いてソファに身を沈める。途端にウトウトしてきて、睡魔に抵抗もせずに目を閉じた。最愛のジュンコが伺うようにシュルリと舌を出したのにも気づかない。ただただ幸せな気持ちで、やわらかな夢を見る。




もどる